このブログは新しいビジネスモデルを作るためのヒントを探ることを目的としています。
その前提として、以下の点を明確にしておく必要があると思い、今回の記事を作成しました。
- そもそもビジネスモデルとは何か?
- ビジネスモデルの典型的なパターン
- ビジネスモデルの典型的なパターンの組み合わせ
- ビジネスモデルのパターンの細分化
- ビジネスモデルの差別化
新しいビジネスモデルを作るヒントになれば幸いです。
目次
1.ビジネスモデルの定義
ビジネスモデルとは、ビジネスの仕組みのことです。
もう少し詳しい説明としては、以下の解説が参考になります。
事業で収益を上げるための仕組み。事業として何を行ない、ターゲットは誰で、どのようにして利益を上げるのか、という「儲け」を生み出すための具体的なシステムのこと。とりわけ、既存の事業形態とは異なるシステムをもつ、コンピューターやインターネットなどの情報ネットワーク技術を活用した新しいビジネス手法のことを指す場合もある。
2.ビジネスモデルの典型的な12のパターン
ビジネスモデルには典型的なパターン(型)があります。

(1)物販モデル
自身で商品やサービスを開発・製造し、顧客に提供して対価を得るというビジネスモデルです。最もシンプルで多くの方に馴染みのあるビジネスモデルのパターンです。
例えば、多くのメーカー、飲食店、コンテンツの販売などが該当します。
物販モデルの場合、魅力のある商品やサービスを開発することが成功の鍵になります。
コレクションモデルと呼ばれる、商品全体を部分的に販売していくビジネスモデルも物販モデルの一形態です。
DeAGOSTINI(デアゴスティーニ)のように、顧客に対して商品全体を一度に売るのではなく、商品を部分的に定期購読させることで商品全体を完成させる仕組みになっています。 複数巻で物語が完結する漫画の単行本などもコレクションモデルと言えます。
(2)小売モデル
自身で商品を開発・製造するのではなく、商品を仕入れて販売するというビジネスモデルです。これも多くの方に馴染みのあるビジネスモデルのパターンです。
例えば、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店、書店などが該当します。
基本的に販売する商品が他社と同じになりますので、他社と差別化するためには、
- 店舗の場所・立地(インターネット上のサイトも含む)
- 価格
- 商品の品数
- 商品の希少性
などの特徴を出す必要があります。
また、ポイントを付与して顧客の囲い込みを行うことが一般的に行われています。
(3)合計モデル
顧客の目当ての商品やサービスと一緒に様々な商品やサービスを販売して、合計の販売価格を引き上げるビジネスモデルです。一人当たりの客単価まで引き上げることができます。
例えば、居酒屋では、生ビールは格安で提供するが、他の料理や飲み物をオーダーしてもらうことで客単価を上げています。
また、100円ショップでは、目当ての商品を買うつもりでお店に行ったにもかかわらず、他の商品を見ているうちに「ついで買い」をしてしまいます。
(4)消耗品モデル
大元となる商品やサービスの販売後、その商品やサービスの利用を継続するための消耗品やメンテナンスで利益をあげるビジネスモデルです。
家庭用のプリンターが典型的な消耗品モデルです。
メーカーはプリンター自体で利益をあげるのではなく、プリンターを継続的に利用するためのインクカートリッジを販売することで利益をあげています。
(5)卸売モデル
メーカーと小売業の間に位置し、メーカーから商品を仕入れ、小売業に商品を販売するビジネスモデルです。中間流通業や問屋とも呼ばれます。
卸売は、メーカーと小売業との間の物流コストや受発注、商品の保管等に伴う業務負担を軽減する役割を果たしています。
(6)継続課金モデル
顧客に月や年などの単位で継続的に課金してもらうことで、商品やサービスを提供するビジネスモデルです。
継続課金モデルには、一定の金額(定額)を課金する定額課金方式や、利用量に応じて金額が変動する従量課金方式、一定の範囲内までは定額でそれを上回ると追加料金が発生する定額従量方式などがあります。
一定期間の利用権として定期的に料金を支払うサブスクリプション方式も継続課金モデルの一種です。 継続課金モデルの種類については、「課金システムを選ぶポイント|継続課金?都度課金?」をご参照ください。
(7)レンタルモデル
商品を貸し出すことにより利益を得るビジネスモデルです。
レンタルDVDやレンタカーなどが代表的なレンタルモデルです。
(8)マッチングモデル
商品やサービスを提供する事業者と顧客とをつなげることで手数料を得るビジネスモデルです。
例えば、不動産仲介、求人サイト、ホテル予約サイトなどが該当します。
(9)広告モデル
媒体に広告を掲載することで広告料金を得るビジネスモデルです。
例えば、テレビや新聞、雑誌、Webサイト、SNSなどが該当します。
(10)ライセンスモデル
権利を持っている者が第三者に権利を使用させることで、第三者から権利の使用料を得るビジネスモデルです。
権利としては、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権が一般的です。
例えば、特許権を取得し、第三者に特許に関する商品を製造・販売させる権利(ライセンス)を許諾することにより、第三者から実施料(ロイヤリティ)を得るような場合です。
肖像権を使用させて使用料を得る場合もあります。
フランチャイズも似たような形態のビジネスモデルです。
フランチャイズは、一定の実施料を企業本部に支払って商号・商標の使用権や販売ノウハウなどの使用許諾を取得し、店舗経営を行うビジネスです。
〇〇協会や家元制度なども、資格(ライセンス)を与えてライセンス料を得ていますので、ライセンスモデルに近いビジネスモデルです。
(11)二次利用モデル
一度作ったコンテンツを別の形態で再販売するビジネスモデルです。
例えば、テレビ番組をDVD化して販売したり、ヒット曲を集めたベストアルバムを販売するような場合が該当します。
(12)フリーミアムモデル
サービスを無料で利用させることで利用者を集め、一部の有料サービスを販売して利益を得るビジネスモデルです。
インターネット上のサービスの多くはフリーミアムモデルを採用しています。
3.プラットフォームのビジネスモデル
「プラットフォームビジネス」とは、企業や個人などのプレイヤーが参加する(集まる)場所「プラットフォーム(基盤、土台)」を提供する、主にIT企業が展開するインターネット上のサービスのことです。
プラットフォームを提供する事業者のことを「プラットフォーマー」と言います。
プラットフォーマーとしては、GAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)が代表的です。GAFAMのような世界的な大企業だけでなく、様々なプラットフォーマーがプラットフォームビジネス(サービス)を展開しています。
(1)Amazon
Amazonは、初期の頃は書籍(本)を仕入れて販売することだけをインターネット上のサイトで行っていました。
その後に、Amazonは様々な商品を販売するようになりますが、基本的には商品を仕入れて販売するという小売モデルです。
Amazonは2002年にクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を開始し、「Amazonマーケットプレイス」(Amazon以外の出品者が販売している商品の売場)を開始します。また、Amazonは2007年にAmazonプライムという会員制プログラムを開始します。これらは継続課金モデルのビジネスモデルです。
Amazonは様々な商品・サービスを取り扱っており、2016年の時点で取り扱っている品目数はマーケットプレイスを含めると3億5371万品目以上となるそうです。今(2021年)は確実にそれ以上の品目数でしょう。
(2)楽天
楽天は1997年に楽天市場を開設します。楽天市場はインターネット上のショッピングモールです。
実世界のショッピングモールは不動産賃貸業に分類され、ショッピングモール内のスペースをテナントに貸し、賃料を収受するビジネスモデルです。また、一般的にショッピングモールの賃料はテナントの売上高に連動する売上歩合制賃料が採用されています。
このような実世界のショッピングモールをインターネット上に作ったのが楽天市場です。ビジネスモデルとしては継続課金モデルに該当します。
その後、楽天は銀行、証券会社、カード会社などを買収することで、独自の楽天経済圏を形成することになります。
楽天が金融系に強いのは、創業者の三木谷氏が銀行出身であることが影響していると思われます。
(3)オンラインサロン
オンラインサロンとは、Web上で展開される会員制コミュニティのことです。
オンラインサロンを運営する事業者(運営者)は、サロンの主催者と会員とをつなげるマッチングサービスを提供しています。しかし、事業者は会員からの会費の一部を収益としていますので、収益を得る手段としては継続課金モデルになります。
(4)クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことを指しています(「クラウドファンディングとは?」を参照)。
クラウドファンディングを運営する事業者(運営者)は、起案者(出資を希望する者)と支援者とをつなげることで手数料を得ていますので、ビジネスモデルとしてはマッチングモデルになります。
(5)note
noteは文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を配信するWebサービスです。
noteは文章や画像などを配信することができる点で無料ブログと似ていますが、ビジネスモデルは無料ブログと大きく異なります。
ブログは、もともと月額数百円程度の継続課金モデルでした。ブログを運営する事業者が増えてくると、会員数を増やすためにブログサービスを無料で提供し、広告を掲載することで収益をあげる広告モデルに移行しました。
noteは会員がコンテンツを販売できるコンテンツ配信サービスです。ビジネスモデルとしては、売上金額から決済手数料を引いた額の10%をプラットフォーム利用料として徴収する課金モデル(従量課金)となります。
また、会員は基本的なnote内の機能は無料で利用できますが、高度な機能を使うためには月会費を支払います。これはフリーミアムモデルとなります。
本を出版することなどによるコンテンツの販売は、ユーザーにとってハードルが高いですが、noteであれば気軽にコンテンツを販売することができます。
コンテンツを販売したいユーザーが集まってきますので、相対的に質の高いコンテンツが配信されることになります。これがnoteが成功した理由であると考えます。
4.パターンの組み合わせ
上記のように、企業は既存のビジネスモデルのパターンを組み合わせることによりビジネスモデルを構築していることがわかります。
また、ビジネスモデルのパターンを組み合わせることによりマネタイズのポイントを増やしています。
ビジネスモデルのパターンの組み合わせ方によって面白いビジネスモデルが生まれるかもしれません。
5.パターンの細分化
ビジネスモデルを12のパターンに分類しましたが、12のパターンそれぞれは細分化されます。
例えば、製造メーカーと飲食店が同じ物販モデルと言われても違和感があるかもしれません。
また、同じ飲食店であってもサービスの提供の仕方は様々です。
12のパターンは細分化され、細分化されたものが細分化され、さらに細分化されたものが細分化される、というように無限に広がっていきます。
どこまで細分化すればよいのかがわからなくなってしまいます。

6.差別化されたもの
このブログは新しいビジネスモデルを作るためのヒントを探ることを目的としています。
この目的に照らして、私は「他のビジネスモデルと差別化され、差別化された部分に対して需要があるもの」を新しいビジネスモデルと考えています。
このブログのビジネスモデルに関する記事は、このような考えに基づいて書いています。