中小企業のブランディングに必要な4つの要素

なぜブランディングが必要なのか?

ブランドが確立すれば、顧客が何かを購入しようとするときに顧客に思い出してもらえます。

ブランド力が強くなれば、顧客はブランドの商品・サービスを他の商品・サービスよりも優先的に購入します。これは顧客の囲い込みに成功したことになります。

「なぜブランディングが必要なのか?」を一言で言うと、他の会社・商品・サービスよりも優位な状態になるためです。

大企業と中小企業の違い

大企業の場合は、ブランディングを担当する人材を確保することができ、ブランディングに取り組むための予算も確保することができます。中小企業よりも有利な状況が揃っています。

しかし、中小企業には大企業にない強みがあると思っています。これについては後述します。

中小企業のブランディングで考慮したこと

中小企業の場合、大企業よりも予算をかけられない。このことを考慮しました。

一方、ブランドを確立するためには、それなりの労力が必要だと思っています。自分達で頑張って動く分には費用はかかりません。

目次

1.ブランドとは

そもそもブランドとは何かという話ですが、私は単純に「ブランドとは、他の会社・商品・サービスと区別(識別)される自己の会社・商品・サービスのイメージ(印象)」と考えています。

2.ブランディングの要素

(1)会社・商品・サービスの特徴

ブランディングに必要な1つ目の要素は「会社・商品・サービスの特徴」です。

「会社・商品・サービスの特徴」がブランドを確立するための出発点であり、最も重要で最も難しい要素です。

会社・商品・サービスに「特徴」がなければ、顧客に覚えてもらえませんし、なかなか思い出してもくれません。

「特徴」といっても漠然とした広い言葉です。「特徴」になり得るものを列挙します。

(a)「商品・サービスの品質」

価格と品質の関係

「特徴」として真っ先に思い浮かぶのが「商品・サービスの品質」です。

商品・サービスの品質というと、高品質な高級品のことと思われるかもしれませんが、高級品に限られるわけではありません。

商品・サービスには品質に応じた相場が決まっています。高価格帯の商品・サービスの相場、中価格帯の商品・サービスの相場、低価格帯の商品・サービスの相場があります。

顧客は、商品・サービスの品質と価格を比較して、商品・サービスの満足度をシビアに判断しています。相場よりも品質が高いと顧客が判断すれば、顧客の平均的な満足度が上がっていきます。

顧客の満足度が高い状態が継続することで、会社・商品・サービスへの信頼・信用が徐々に蓄積され、会社・商品・サービスのブランドが形成されていきます。

商品・サービスの品質を追求した結果、ブランドが形成された場合、ブランドには顧客からの信頼・信用が化体しているため、同じ業界の商品・サービスよりも優位な状態を築くことができます。

ただし、他の会社も商品・サービスの品質を向上させようと努力していますので、商品・サービスの品質で差別化することは簡単なことではありません。

また、私を含め多くの会社がそれぞれの商品・サービスの価格帯でしのぎを削って競争しています。

他の会社の商品・サービスよりも価格で差をつけようとすると、価格競争に陥ってしまうおそれがあります。

(b)「商品・サービスの独自性(オリジナリティ)」

独自性(オリジナリティ)のある商品・サービスを提供することで、商品・サービスの特徴を出すことができます。これによってブランドが形成されます。

この場合、他の会社はそのような商品・サービスを提供していないわけですから、価格競争から脱却することができます。

ただし、独自性のある商品・サービスを開発することも簡単なことではありません。

・ひらめき

独自性のある商品・サービスを開発するためには、何かしらの「ひらめき」が必要になります。

常にアンテナを張って何かヒントになるものがないかを敏感に感じる必要があります。

何かひらめいても直ぐに忘れてしまいます。クリエーターはメモを取ることを習慣にしている方が多いです。

何かひらめいても既に誰かが行っていたり、他の人が行っていなくてもあまり効果的でないものがほとんどかもしれません。

しかし、ひらめきを蓄積していくことで、ひらめき同士が結びついたり、ひらめきが熟成されて何か良いものが生まれることがあります。

・マーケティング

独自性のある商品・サービスということは、他の会社が提供していない商品・サービスということになります。

他の会社が提供していない商品・サービスを探す作業は、マーケティングの領域の話です。

市場の規模を調べ、競合会社の商品・サービスを分析し、自身の会社・商品・サービスの立ち位置(ポジショニング)を決める必要があります。

ここで中小企業の強みを発揮することができます。

市場の規模が小さければ大企業が参入してくる可能性は低くなります。また、市場の規模が小さいということは、顧客のニーズにピンポイントに応えるような商品・サービスでも構わないということになります。現代は顧客(消費者)のニーズが多様化していますので、これが中小企業の強みとなります。

大企業は多くの消費者に受け入れられるような商品・サービスを提供しています。これはコモディティ化した商品・サービスです。

一方、中小企業の場合は、個性的な(悪い言い方をすれば、くせのある)商品・サービスを提供することも可能です。すべての消費者に受け入れられるような商品・サービスでは大企業に太刀打ちできませんが、一部の消費者に刺さるような商品・サービスであれば勝負することができます。

行列ができるラーメン屋さんは、くせのある味のお店が多いそうです。強烈な個性が受け入れられれば人気店になることが可能です。

・既存の事業の否定

ベンチャーは世の中に存在する既存の事業を否定することにより生まれることがあります。

大企業発のベンチャーは、あまり成功している印象がありません。

大企業の場合、既存の事業で利益を得ており、多くの顧客を持っています。既存の事業を否定することは、自身の首を絞めるおそれがあります。

これが大企業発のベンチャーが成功しない理由の一つではないでしょうか。

一方、ベンチャーは既存の事業や顧客がいないのですから、既存の事業を否定し、思い切ったことを行うことができます。これが大企業の弱みであり、ベンチャーの強みです。

既存の事業を否定し、新しいことにチャレンジすることで、独自性のある商品・サービスを開発することができます。

(c)「会社自体の個性」

会社自体に個性があれば、それが会社の特徴になり、ブランドを形成しやすくなります。

例えば、会社の歴史が長ければ、会社の歴史がブランド形成に大きく寄与します。ただし、長い歴史のある会社はすでにブランドを形成している可能性が高いですが。

経営者の個性も会社の特徴になり得ます。昔はカリスマという言葉を使っていましたが、今はインフルエンサーというのかもしれません。

現在はSNSやYoutubeなどを通じて個人が情報発信し、ブランディングしていく時代です。個人ブランディングが成功すれば、会社のブランド形成に寄与します。

ただし、経営者が目立つことはリスクもあります。

(d)「社会的意義・貢献」

会社が果たす社会的役割を発信することにより、消費者に受け入れられる可能性があります。

社会的に意義のある仕事をしたいと思っている人が多く存在します。また、会社の社会的な貢献を評価してくれる人も多く存在します。

例えば、会社の商品が環境に優しいもの(一例としてゴミの削減に貢献できるもの)であれば、それを評価してくれる人がいるはずです。

会社が社会に対する貢献をアピールできれば(アピールだけでなく実際に行動する必要がありますが)、ブランド形成に大きく寄与することになります。

(2)会社・商品・サービスの認知

ブランディングに必要な2つ目の要素は「会社・商品・サービスの認知」です。

会社・商品・サービスが認知されていなければ、顧客に思い出してもらうこともあり得ません。ブランド云々の話以前の問題です。

大企業の場合、マスメディアを通じて広告を配信することが可能ですし、インターネット上に大量の広告を掲載することも可能です。大企業は比較的、会社・商品・サービスの認知を獲得することが容易です。

一方、中小企業の場合、広告のコストが限られますので、マスメディアを通じた広告などを行うことは困難です。

しかし、今の時代は低い費用(または無料)で情報を発信する手段は数多く存在します。特定の欲求を持った消費者への認知は、コストをかけずに行うことが可能です。

(a)情報発信の手段と労力

・ホームページ(サイト)

ほとんどの企業が自社のホームページを作成しています。

会社のホームページがないと、会社の信用が低下してしまいます。

ホームページ自体は、費用もそれ程かからず、個人で簡単に作成することができます。

私はHTMLなどの知識はほとんどありませんが、このブログ(および私の事務所のホームページ)をワードプレスで作成しています。

パソコンを触ったことがないような人は難しいかもしれませんが、WordやExcelを使える程度の知識があれば、特別な知識がなくてもワードプレスでホームページを作成することは可能です。

興味のある方は「ワードプレスの始め方とおすすめのレンタルサーバー」をご参照ください。

ホームページは会社の存在を知ってもらうだけでなく、会社の商品・サービスを詳しく知ってもらう手段として活用されています。

コンテンツマーケティングという言葉があります。

ユーザーの役に立つ、ユーザーの為になるコンテンツをホームページ上に提供してホームページのアクセスを集め、そのアクセスを商品等の販売につなげるマーケティング手法のことです。

ホームページのコンテンツが商品・サービスに関連するキーワードで検索サイトの検索上位になれば、絶大な広告効果があります。

労力
ホームページの作成自体★~★★
コンテンツマーケティング★★★~★★★★
ホームページを作成する場合の労力

ホームページの作成自体はそれほど労力(負担)はかかりません。ただし、デザインに凝ったり、ホームページ上でさまざまな機能(例えば会員サイト)を追加しようとすれば、労力は増していきます。

また、ホームページ上で商品を販売しようとすれば(ECサイトの作成)、労力が増加します。

コンテンツマーケティングについても、コンテンツを作成することは難しくありませんが、検索上位になるようなクオリティの高いコンテンツということになると難易度が上がります。

ただし、ニッチなワードで検索上位を狙う場合は、それほど難しくありません。

また、会社内においてコンテンツを複数人で作成する場合は、一人当たりの労力(負担)は軽減されます。

コンテンツが充実しているサイトは、良い意味で「頑張っている」ことが伝わってきます。そのようなサイトの会社に仕事を依頼したら頑張ってくれるんじゃないかと思わせるものがあります。これは小さな会社の強みでもあります。

大企業のサイトは良い意味で「ちゃんとしている」、悪い意味で「無味乾燥」なイメージがあります。

個人的な感想としては、大企業のサイトはあまり面白くない印象です。小さな会社の「頑張っている」サイトの方が面白い情報が多い印象を持っています。

・SNS

今は、多くの会社がFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用して会社・商品・サービスの認知を広げようとされています。

SNSは人の繋がりを広げていくものですので、直接、顧客(消費者)の反応を調べることができるメリットがあります。

SNSはもちろん無料ですし、ホームページでコンテンツを作成するよりも労力はかかりません。こまめに投稿しようとすれば、当然それなりに労力はかかります。

労力
SNSの投稿★~★★
SNSの投稿の労力

会社の社員が積極的に会社の商品・サービスをアピールする投稿を行っている印象がありません。

何か問題のある投稿があれば、会社のイメージにダメージを与えるおそれがあるので、管理が大変という理由だと思います。

しかし、適切にSNSの投稿のルールを作成しておけば、問題が生じる可能性は低くなると思いまし、会社のイメージアップにつながります。さらに、良い投稿(例えば「いいね!」が多い投稿)をした社員に報奨金を与えるような制度があれば、社員は積極的に投稿をしてくれると思います。

報奨金を獲得する社員はいつも友達が多い社員だけになってしまうおそれがありますが。

・YouTube

私はユーチューブに動画を投稿したことがありませんが、クオリティの高いコンテンツを制作するのが大変なイメージがあります。

動画の撮影と編集、音楽をつける、字幕をつけるなどの作業が必要になります。

一般の会社の場合、コンテンツ(動画)のネタを探すのも難しいものがあります。

例えば、ホテル、宿などの宿泊施設の場合、宿泊施設の魅力や、周辺の観光地を動画で撮影することにより、アピールすることができると思います。

労力
動画の制作★★★~★★★★★
動画の制作の労力

・その他

セミナーやイベントを行うことで、会社・商品・サービスの認知を獲得することも考えられます。

(b)広告

あまり費用がかからない広告となると、リスティング広告が考えられます。

リスティング広告

リスティング広告とは、検索連動型広告と呼ばれる広告で、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告のことです。

上の画像の赤枠で囲った広告がリスティング広告です。リスティング広告は検索結果画面の上部や下部に検索結果とともに表示されます。

リスティング広告は、広告をクリックした場合にのみ料金が発生します。検索結果に表示されただけでは費用は発生しません。

一般的に、平均クリック単価✖クリック数で広告費が決定しますので、少額から始めることができます。

(3)ブランディングのツール

ブランディングに必要な3つ目の要素は「ブランディングのツール」です。

顧客との接点となるものがブランディングのツールとなります。例えば、

・会社・商品・サービスのネーミング

会社のロゴ

・イメージカラー

・商品・パッケージのデザイン

・その他、名刺やパンフレット、サイト、SNSなど

これらのものに統一感を持たせることで、会社・商品・サービスが顧客の印象に残りやすくなります。

CI(コーポレート・アイデンティティ)は、「企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つ」(Wikipediaより引用)です。

CIを作っておくことで、ブランディングのツールに統一感を持たせることができ、ブランドを形成しやすくなります。

(4)ブランドを守るための権利

ブランディングに必要な4つ目の要素は「ブランドを守るための権利」です。

上記3つの要素はブランドを形成するための要素ですが、4つ目の要素はブランドを守るための要素です。

商品・サービスが有名になると、商品・サービスが模倣されるおそれがあります。逆に、模倣される側になったということは、商品・サービスのブランドが形成されたと言えます。

(a)商標権

会社・商品・サービスの名前(名称)、ロゴなどは商標権で保護することができます。

会社・商品・サービスの名前(名称)、ロゴなどは、ブランドの象徴(シンボル)になるものですから、必ず商標権を取得しておく必要があります。

(b)意匠権

商品・パッケージのデザインは意匠権で保護することができます。

意匠権を取得する場合に注意することは、商品・パッケージを公開(商品・パッケージの発表、商品・パッケージの販売など)する前に意匠登録出願を行う必要があるということです。

厳密に言いますと、原則として商品・パッケージの公開前に意匠登録出願を行う、例外として商品・パッケージの公開後6ヶ月以内に意匠登録出願を行えば意匠権を取得することができる可能性がある、ということになります。

(c)特許権(または実用新案権)

商品・サービスに関して技術的価値のある部分は特許権(または実用新案権)で保護することができます。

特許権(実用新案権)も意匠権と同様、原則として商品・サービスに関する技術の公開前に特許出願(実用新案登録出願)を行う、例外として商品・サービスに関する技術の公開後6ヶ月以内に特許出願(実用新案登録出願)を行えば特許権(実用新案権)を取得することができる可能性がある、ということになります。

スポーツに例えると、上記3つの要素は攻撃面の要素、4つ目の要素は守備面の要素ということになります。

プロ野球でチーム防御率が5点台のチームは最下位争いの成績になりますし、サッカーで1試合に3点も4点もとられるチームもなかなか勝つことができません。

守備面もそれだけ大事な要素となります。

3.まとめ

ブランディングの要素としては、大企業も中小企業も共通していますが、中小企業には大企業にない強みがあります。

特に大事な要素は1つ目の「会社・商品・サービスの特徴」です。ここに注力する必要があります。

「会社・商品・サービスの特徴」が強いものであれば、口コミなどで勝手に広がっていく可能性があります。つまり、「会社・商品・サービスの特徴」が強いものであれば、「会社・商品・サービスの認知」も獲得しやすくなります。

中小企業の場合、上述したことをすべて行うのは大変な作業になります。できる範囲で行えばよいのではないでしょうか。

会社のイメージも人と同様「らしさ」が重要です。中小企業の場合、会社のイメージを無理やり作っていくものではなく、自然ににじみでてくるものだと思います。

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