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会社名(商号)を決める際の最低限の法律上のルール

目次

1.「モーニング娘。」の「。」

今では芸名、グループ名などに様々な記号が使われていますが、その始まりは「モーニング娘。」の「。」であることは有名な話です。

「モーニング娘。」は、ASAYAN(1995年に浅草橋ヤング洋品店からリニューアルされたオーディションバラエティー番組)でデビューしました。

メンバーが決まり、番組内でグループ名が発表されたときに、「モーニング娘。」とテロップが出されました。このとき、ナインティナインのどちらか(岡村さんだったかやべっちだったかは忘れました!)が「。」もグループ名に入るんか、というような突っ込みを入れて、その場のノリで「モーニング娘」に「。」が付きました。

当時は、句読点「。」「、」を付けているグループや芸能人はいなかったので、珍しいということで注目されていた記憶があります。

その後は、「藤岡弘、」「つのだ☆ひろ」「つんく♂」など数多くの芸能人、グループ名に様々記号が付くようになりました。

2.商号で使用可能な文字

ところで、法人名(法務局に登記した商号)では、これらの記号は使用することができるのでしょうか?

調べてみました。

法人名で使用することができる文字・記号は決まっており、

・ひらがな、カタカナ、漢字

・ローマ字(大文字及び小文字)

・アラビア数字(1,2,3,・・)

・限定された一部の記号

「&」(アンパサンド)

「’ 」(アポストロフィ)

「,」(コンマ)

「ー」(ハイフン)

「. 」(ピリオド)

「・」(中点)

となっています。

従って、「?」「!」「☆」などは使えないようです。

また、日本の句読点「。」「、」も使えないようです。このため、モーニング娘。のような名称を会社名にすることができません。

法人でない個人事業主などの屋号は上記のような制限はないようです。

3.商号を登記する際のルール

商号は、使用可能な文字が一定の文字に制限されていること以外に、法務局に登記する際には以下のようなルールが定められています。

(1)「株式会社」を商号の「前」又は「後」に入れる

商号の「前」か「後」に「株式会社」や「合同会社」などの文字を入れなければなりません。商号の前に「株式会社」を入れることを「前株(まえかぶ)」といい、商号の後に「株式会社」を入れることを「後株(あとかぶ/うしろかぶ)」をいいます。

(2)同一住所で同一商号の禁止

同一の住所で同一の商号を使用した場合、会社の区別ができなくなりますので、商号を登記をすることができません。同一の住所でない限り、同じ都道府県であっても同一の商号を使用することはできます。

(3)公序良俗に反する商号の禁止

犯罪を連想させる言葉や、道徳に反する言葉、猥褻な言葉など、公序良俗に反する言葉を商号として使用することはできません。

(4)特定の業種の使用文字の制限

銀行、信用金庫、保険会社など特定の業種の場合は、その業種を表す文字を商号に含める必要があります。

反対に、これら特定の業種でない場合は、その業種を表す文字を商号に含めることはできません。

(5)商号で使用可能な文字の制限

上述しましたように、商号で使用可能な文字・記号は定められており、「?」「!」「☆」などは使用することができません。

以上の条件を満たせば商号を法務局に登記することはできますが、さらに以下の事項を考慮する必要があります。

(6)不正競争防止法における商号の使用が禁止される行為

不正競争防止法では以下の行為が禁止されています。

・他人の周知な商品等表示氏名商号商標標章など)と同一又は類似の商号を使用し、又はその商号を使用した商品を販売等して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(不正競争防止法第2条第1項第1号)

周知表示混同惹起行為(しゅうちひょうじこんどうじゃっきこうい)といいます。

周知な氏名、商号、商標等(例えば、有名人の氏名、有名な会社名、有名な商標など)を商号として使用することはできません。

周知表示混同惹起行為に該当するためには、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為であることが条件となります。

「混同」とは、同一事業者であると混同される場合や、何らかの資本関係があるように混同されるような場合が該当します。

例えば、「有限会社ウォークマン」という商号を使用した業者に対して、その表示の使用禁止及び商号の抹消請求が認められた裁判例があります。

・他人の著名な商品等表示氏名商号商標標章など)と同一又は類似するものを自己の商号として使用し、その商号を使用した商品を販売等する行為(同法第2条第1項第2号)

著名表示冒用行為(ちょめいひょうじぼうようこうい)といいます。

著名な氏名、商号、商標等を自己の商号として使用することはできません。

「著名」は「周知」よりも需要者の間に広く認識されていることをいいます。周知は一地方の需要者に広く認識されていれば足りますが、著名は全国的に世間一般に広く認識されている必要があります。

著名表示冒用行為は「混同」が条件とはなっていません。

例えば、ラブホテルの名称に「エルメス」を使用した場合、需要者は高級ファッションブランドのエルメスが経営していると誤認することはありません。しかし、高級ファッションブランドの顧客吸引力の不当な利用、ブランドイメージの汚染・希釈化を招くおそれがあります。

これらの行為に該当するときは、周知・著名な商品等表示を有する者から損害賠償請求や差止請求が行われるおそれがあります。

(7)商標法で規定する商標権の侵害行為

他人の登録商標と同一又は類似する商標を使用する行為は、他人の商標権を侵害するおそれがあります。

不正競争防止法と異なり、周知や著名であることが条件ではありません。

商号が特許庁に登録されている商標(登録商標)と同一又は類似する場合は、商標権の侵害行為に該当するものとして商標権者から損害賠償請求や差止請求が行われるおそれがあります。

ただし、特許庁に登録されている登録商標は、その登録商標を使用する商品・サービス(商標法でサービスのことを役務といいます)が指定(限定)されています。

従って、商号を使用する会社が取り扱っている商品・サービスが、登録商標で指定されている商品・サービスと同一又は類似でなければ、商標権の侵害となりません。

4.商号・商標の調べ方

(1)インターネットで検索

グーグルなどの検索エンジンで、法務局に登記したい商号と同一の商号、商標、商品名、サービス名、人名などがないか検索しておく必要があります。

商号と同一の商号、商標、商品名、サービス名、人名などが周知・著名なものであれば、商号を変更することをお勧めします。

(2)法務局に登記されている商号を調べる方法

国税庁法人番号公表サイト

このサイトでは、法人番号の指定を受けた者の

  • 商号又は名称
  • 本店又は主たる事務所の所在地
  • 法人番号

を調べることができます。

(3)特許庁に登録されている商標(登録商標)を調べる方法

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の商標簡易検索

J-PlatPat

簡易検索の「商標」をチェックし、検索窓に検索したい商号の文字を入力し、「検索」をクリックすると、入力した文字と同一の登録商標、入力した文字を含む登録商標などが検索結果として表示されます。

5.ドメインの調べ方

商号と同じ文字のドメインを取得できるかどうかは商号を決める際の重要な要素です。

会社のホームページがなければ怪しまれてしまいます。顧客、取引先などは、会社のホームページでどのような会社かを確認することが一般に行われています。ホームページがなければ「あれ?」という感じになってしまいます。

会社を立ち上げる際は、特定の業種(例えば、固定の取引先のみと取り引きする会社)を除き、ホームページを作成する必要があります。

また、会社のホームページのドメインは会社の商号と同じ方が好ましいと思います。会社のホームページのドメインと会社の商号とが同じであれば、ホームページを見る人に安心感を与えます。

ドメインの取得には費用がかかってしまいますが、ドメインは会社の財産になります。商号を決める際はドメインを取得できるかどうかを確認するようにしてください。

お名前.com

こちらで希望のドメインを取得可能かどうかとドメインの費用を調べることができます。

会社の場合は、末尾が「.com」「.co.jp」のドメインを用いることが一般的です。

最近は、末尾が「.tokyo」や「.nagoya」などの地名のドメインなど、さまざまなドメインがあります。こればかりは好みになってしまいます。

6.まとめ

商号を法務局に登記するだけなら、同一の住所に同一の商号がないなどの条件を満たせばよいので、それほど難しいことではありません。

不正競争防止法で禁止されている行為に該当するか否かは、周知・著名な商号、商標、商品名、サービス名、人名などがないかをインターネットで検索することで、ある程度調査することは可能です。

商標権の侵害に該当しないか否かは、インターネット上での検索だけでは不十分です。インターネットの検索結果として表示された場合でも商標が特許庁に登録されていない場合がありますし、反対に、インターネットの検索結果として表示されていない場合でも商標が特許庁に登録されている場合があります。

上記の商標簡易検索で検索することで、ある程度調査することは可能です。しかし、簡易検索ですので、詳細な商標調査ではありません。専門家による商標調査をご利用されることをお勧めいたします。


詳細な商標調査をご希望される場合は、「弁理士事務所サークル」のサービスのご利用をご検討ください。

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