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翻訳業・通訳業の将来

「大阪メトロの英語サイトで、「堺筋線」(さかいすじせん)を「サカイマッスルライン」(堺筋肉線)などと誤訳しているとネットユーザーから指摘があり、メトロがサイトを非公開にした問題。米Microsoftの自動翻訳ツールによる翻訳をそのまま掲載したことが原因という。」https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/20/news063.html

このようなニュースを2019年3月にテレビで見ました。上の記事によると、「堺筋線」を「サカイマッスルライン」、「天神橋筋」を「テンジンブリッジマッスル」、「3両目」を「3アイズ」、「天下茶屋」(てんがちゃや)を「ワールドティーハウス」などと誤訳していたようです。

最近は、Google翻訳などの自動翻訳ツールの精度が上がってきていた印象がありました。また、POCKETALKなどの音声翻訳機をさまざまなメディアで見かけるようになりました。実際、これら機械翻訳の精度はどれぐらいなんだろう?機械翻訳の精度が上がれば、翻訳業や通訳業は将来どうなっていくんだろう?という素朴な疑問が浮かんできました。そこで、自動翻訳ツールや音声翻訳機の精度と、翻訳業・通訳業の将来について検討してみました。

目次

1.自動翻訳ツールの精度

(1)英語から日本語

(2)中国語から日本語

(3)韓国語から日本語

2.音声翻訳機(自動翻訳機)の精度

3.翻訳業の将来

(1)説明書・マニュアル等の直訳

(2)文学作品の翻訳

4.通訳業の将来

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1.自動翻訳ツールの精度

 自動翻訳ツールとして最もポピュラーなのはGoogle翻訳でしょう。ある情報をGoogleで検索しているときに英語のサイトが表示されると、Googleが自動的に英語の文章を日本語の文章に翻訳してくれます。Googleで翻訳された日本語は、意味はわかるが若干違和感のある文章というのが私の印象でした。今のGoogle翻訳の精度を実際に試してみました。

(1)英語から日本語

ロイターの2021年1月7日の記事の一部 https://www.reuters.com/

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U.S. Congress certifies Biden win hours after harrowing Capitol Hill assault

WASHINGTON (Reuters) -Hours after hundreds of President Donald Trump’s supporters stormed the U.S. Capitol in a harrowing assault on American democracy, a shaken Congress on Thursday formally certified Democrat Joe Biden’s election victory.

Immediately afterward, the White House released a statement from Trump in which he pledged an “orderly transition” when Biden is sworn into office on Jan. 20, although he repeated his false claim that he won the November election. On Wednesday, the Republican president had seemingly encouraged his followers to swarm the Capitol.

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 上記記事のGoogle翻訳による日本語訳

米国議会は、キャピトルヒルの暴行を悲惨なものにした後、バイデンの勝利時間を証明します

ワシントン(ロイター)-数百人のドナルド・トランプ大統領の支持者がアメリカの民主主義に対する悲惨な攻撃で米国議会議事堂を襲撃した数時間後、木曜日の動揺した議会は民主党のジョー・バイデンの選挙勝利を正式に認定した。

その直後、ホワイトハウスはトランプから、バイデンが11月の選挙に勝ったという誤った主張を繰り返したものの、1月20日にバイデンが就任したときに「秩序ある移行」を約束したという声明を発表した。水曜日に、共和党の大統領は彼の信者に国会議事堂を群がらせるように促したようです。

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上の日本語訳の印象は、

・意味はだいたいわかる

・日本語の文法がおかしいところがある

・直訳しているので、文章が自然でなく、違和感がある

日本語と英語は言語体系が大きく異なるので、Google翻訳では自然な文章に訳すのが未だ難しいのでしょう。一部の記者の人名は訳されていないようです。「堺筋線」を「サカイマッスルライン」のように地名も訳すのが難しそうです。また、Google翻訳が生演奏や生放送の意味の「LIVE」を「住む」と訳しているのを見たことがあります。複数の意味を持つ単語が文章で使われている場合、人はその単語がどの意味で使われているのか文脈で判断することができますが、機械(コンピュータ、ソフトウェア)にはまだ難しそうです。有料の翻訳ツール(翻訳ソフトウェア)などでは、使用頻度の高い単語の意味を登録しておくことで翻訳の精度が向上します。

(2)中国語から日本語

中国語の文法は日本語の文法と大きくことなりますが、漢字という同じ文字(繫体字と簡体字の違いがありますが)を用いているので、英語よりは日本語に近いイメージがあります。翻訳の精度はどうでしょうか。

新華社通信の2021年1月7日の記事の一部 http://www.xinhuanet.com/home.htm

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中共中央政治局常务委员会召开会议

听取全国人大常委会、国务院、全国政协、最高人民法院、最高人民检察院党组工作汇报

听取中央书记处工作报告

中共中央总书记习近平主持会议

  新华社北京1月7日电 中共中央政治局常务委员会1月7日全天召开会议,听取全国人大常委会、国务院、全国政协、最高人民法院、最高人民检察院党组工作汇报,听取中央书记处工作报告。中共中央总书记习近平主持会议并发表重要讲话。

  会议指出,党中央权威和集中统一领导,是坚持党的领导的最高原则,是我国制度优势的根本保证。党中央每年听取全国人大常委会、国务院、全国政协、最高人民法院、最高人民检察院党组工作汇报和中央书记处工作报告,是坚持党中央权威和集中统一领导的一项重大制度性安排。

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上記記事のGoogle翻訳による日本語訳

CPC中央委員会の政治局常任委員会が会合を開く

全国人民会議常任委員会、国家評議会、中国人民政治諮問会議全国委員会、最高人民法院、最高人民検察院の作業報告を聞く

中央事務局の作業報告を聞く

CPC中央委員会の事務局長であるXiJinpingが会議を主宰しました

  新華ニュースエージェンシー、北京、1月7日。CPC中央委員会の政治局の常任委員会は、全国人民会議常任委員会、州議会、中国人民政治諮問会議の全国委員会、最高人民法院、最高人民法廷、最高人民検察院の作業報告を聞くために、1月7日に終日会議を開催しました。報告する。CPC中央委員会のXiJinping事務総長が会議を主宰し、重要なスピーチを行いました。

  会合は、党中央委員会の権限と中央集権的で統一されたリーダーシップが党のリーダーシップと我が国の制度的利点の基本的な保証を守るための最高の原則であると指摘した。党中央委員会は、全国人民会議常任委員会、国家評議会、中国人民政治諮問会議全国委員会、最高人民法院、最高人民検察庁の作業報告、中央事務局の作業報告に耳を傾けます。これは、党中央委員会の権限と中央集権的リーダーシップを維持するための重要な制度的取り決めです。

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上の日本語訳は、自然な日本語の文章に近いという印象を持ちました。1箇所「1月7日に終日会議を開催しました。報告する。」という部分の誤訳があります。また、習近平は訳されておらず「XiJinping」となっています。単語の意味が近いと訳すのが優しいのかもしれません。

(3)韓国語から日本語

日本語と言語体系が似ていると言われる韓国語の場合はどうでしょうか。

朝鮮日報の2021年1月7日の記事の一部 https://www.chosun.com/

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국가인권위원회(위원장 최영애)가 최근 발간한 보고서에서 북한의 요구를 유엔의 권고로 둔갑시켜 ‘북한인권법’ 폐지를 향후 과제에 포함시킨 것으로 나타났다. 국가인권위원회는 지난 5일 웹사이트에 게재한 인권증진행동전략(2021~2025) 보고서에서 2017년 심의된 유엔인권이사회 UPR(보편적 정례인권검토) ‘주요 권고 향후 과제’ 중 하나로 ‘북한인권법 폐지’를 꼽았다.

문제의 보고서는 한국 정부가 북한인권법을 폐지하라는 유엔의 권고에도 이를 수용하지 않았다며 북한인권법 폐지를 ‘향후 과제’로 명시했다. 보고서는 또 “국제인권규범의 국내 이행을 위한 (국가인권)위원회의 역할도 중요해지고 있다”며 “국제 사회의 기준에 부합하는 인권국가로서 자리매김하기 위한 적극적인 노력이 필요하다”고 밝혔다. 북한인권법 폐지를 요구한 국제사회의 인권규범 이행을 위해 국가인권위의 역할이 중요하다는 의미로 해석됐다.

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上記記事のGoogle翻訳による日本語訳

国家人権委員会(委員長チェヨウンエ)が最近発刊した報告書で、北朝鮮の要求を国連の勧告に化けて「北朝鮮人権法」の廃止を今後の課題に含ませたことが分かった。国家人権委員会は5日、ウェブサイトに掲載した人権増進行動戦略(2021〜2025)のレポートで2017年審議された国連人権理事会UPR(普遍的定例人権検討)」の主な勧告今後の課題」の一つ「北朝鮮人権法廃止」を挙げた。

問題の報告書は、韓国政府が北朝鮮人権法を廃止するよう、国連の勧告にもこれを受け入れていなかったとし、北朝鮮人権法の廃止を「今後の課題」と明示した。報告書はまた、「国際人権規範の国内移行のための(国家人権)委員会の役割も重要になっている」とし「国際社会の基準を満たしている人権国家としての地位を確立するための積極的な努力が必要だ」と述べた。北朝鮮人権法の廃止を要求した国際社会の人権規範実施のために国家人権委の役割が重要である意味で解釈された。

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やはり翻訳の精度は高いようです。ほとんど違和感を感じません。

英語から日本語、中国語から日本語、韓国語から日本語のGoogle翻訳を見てみましたが、言語体系や単語の使われ方が近い中国語や韓国語の方が英語よりも翻訳精度が高いことがわかります。

上の例はニュースの記事を翻訳しましたが、文学作品などは多様な表現があり直訳しにくいので翻訳精度が下がりそうなイメージがあります。今回は試していませんが・・

また、人はTPO(時と所と場合)に合わせて表現を微妙に使い分けていますが、このような表現の微妙な使い分けを機械翻訳で行うのは未だ難しそうです。

2.音声翻訳機(自動翻訳機)の精度

POCKETALKなどの音声翻訳機の翻訳精度はどうでしょうか?私は音声翻訳機を持っていないので試すことができません。どのような評価か調べてみました。

最も精度が高くて使えるのはどれ?英会話翻訳機の最新モデル3機種を徹底比較

上の記事では、「旅行会話レベル」「スラングやネイティブが頻繁に使う言い回しを正しく翻訳できていない」「いずれも、考えながら話したり、ネイティブのスピードで話すと誤訳されやすいので、伝える言葉を事前に決め、ゆっくり明瞭に、長文は回数を分ける、スラングや複数の意味を持つ言葉は避けるなど工夫する必要がありそうです。」という評価が記載されています。評価を行っている人物が翻訳会社を経営している外国人なので評価が厳しいのかもしれません。

3.翻訳業の将来

(1)説明書・マニュアル等の直訳

製品の説明書やマニュアル等の場合、文章の意味がわかればよいので、多少の違和感のある文章でも問題ないと個人的には思っています。外国の製品の場合、説明書を日本語に翻訳せずに外国語のままサイトに記載しておけば事足りるのではないでしょうか。この手の翻訳の需要は減っていくと思います。逆に、今後は翻訳ツールが翻訳しやすい文章(文法が正しく、一文が長くない単純な構成の文章)を書く必要性が求められてくるのかもしれません。

(2)文学作品の翻訳

文学作品の場合、説明書やマニュアル等とは異なります。文章に違和感があると、作品の世界観が壊れてしまいます。また、翻訳者は二次的著作物の著作権者です。翻訳者は高い日本語の能力・表現力を持っていなければ、上手く翻訳することはできません。作家が翻訳家を兼ねているケースもあります。村上春樹氏は超有名な作家ですが翻訳作品も多数出版されています。

機械翻訳で読者を納得させるような文学作品の翻訳を行うことができるようになるのは当分先であると思っています。

4.通訳業の将来

AIは日本の将棋のトップ棋士や世界の囲碁のトップ棋士に将棋や囲碁で勝つような能力を持っているのに、通訳の能力はまだまだなんですね。音声翻訳機のことを調べてみて、改めてプロの通訳のすごさ(人の能力の高さ)はすごいな~と感心しました。

ただ、旅行などでは音声翻訳機があれば十分かもしれません。また、販売員などが顧客と簡単な会話を行うのも音声翻訳機で十分かもしれません。そうなると、旅行ガイドのような職業の需要は減っていくような気がします。

また、音声翻訳機をビジネスで使うのは未だ無理なようなので、すぐにプロの通訳が音声翻訳機にとって代わることはありません。しかし、音声翻訳機の精度も上がっていくでしょうから、音声翻訳機をビジネスで使える領域は広がっていくでしょう。そうなると、高い能力を持った通訳しか需要がなくなるのかもしれません。

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